春野菜の代表、アスパラガスの旬レシピ|炒めて美味しい食べ方と歴史について解説!

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はじめに
アスパラガスは、海外から伝来した野菜の一つです。日本には江戸時代に渡来したとされていますが、当初はあまり食用として普及せず、鑑賞用に育てられていました。やがて明治時代以降に本格的な食用栽培が進み、現在では春から初夏にかけて旬を楽しめる野菜として定着しています。
もともとヨーロッパの地中海沿岸地域などで育てられてきたといわれ、ヨーロッパ各地では古くから春の味覚として親しまれてきました。日本でも多くの産地があり、地域によってはハウス栽培などで年間を通じて収穫されていますが、やはり本来の旬は3月頃から6月頃までです。みずみずしさが格段に違いますので、この時期のアスパラガスをぜひ楽しんでみてください。
アスパラガスの歴史と発祥
アスパラガスの起源は、ヨーロッパの地中海近郊にあると伝えられています。古代ローマ時代にはすでに食用として栽培されていたとの記録があるほど歴史が深い野菜です。その後、ヨーロッパ各地から北米へ伝わり、日本には江戸時代にオランダ船を介して持ち込まれたといわれています。
日本では、当初は珍しい西洋の植物として観賞用に栽培されていましたが、明治時代に入ると北海道などを中心に食用としての本格的な栽培が始まりました。やがて大正時代になると次第に国内でも食べられるようになり、現在ではホワイトアスパラガスやグリーンアスパラガス、さらには紫色の品種などが出回るようになっています。
アスパラガスの種類と特徴
アスパラガスは栽培方法や品種によってさまざまな種類があります。育て方や見た目の違いによって大きく分類すると、以下のようになります。
グリーンアスパラガス
日光にしっかり当てて育てた、鮮やかな緑色をしたアスパラガスです。日本ではこちらが最も一般的で、柔らかくみずみずしい食感が楽しめます。香りと風味が強いので、軽く炒めたり、焼いたりする調理法に適しています。
ホワイトアスパラガス
若い芽に土をかぶせ、日光を遮断して軟白栽培したものです。ヨーロッパでは春の味覚として特に親しまれ、独特のほろ苦さと甘みが特徴です。缶詰で出回ることも多いですが、ゆでたり焼いたりして、生の状態で食べる国もあります。グリーンアスパラガスよりも色味が白くソフトな雰囲気で、料理の見た目を明るく仕上げるのに向いています。
紫アスパラガス
紫色の品種で、近年は国内でも生産されるようになりました。加熱すると紫色は失われ、緑色に近くなりますが、生食や酢などに軽く通す程度の調理をすれば美しい紫色を保ちやすいです。食感や風味は基本的にグリーンアスパラガスと似ていますが、品種によっては甘みが感じられるものもあります。
旬や選び方による違い
アスパラガスは、3月頃から6月頃までが「旬」とされています。旬の初期である「はしり」の時期は、特に水分を多く含み、外皮も柔らかい傾向があります。一方、旬の後半になると水分がやや減って筋張りやすくなるという違いもあります。しかしその分、風味が増して「アスパラガスらしさ」を楽しみやすい時期でもあります。
- はしり(旬の始まり)
皮が柔らかく、みずみずしさが際立ちます。ゆでると水っぽさが出やすいので、炒めたり焼いたりといった調理法がよりおすすめです。 - 旬の盛りから終わりにかけて
水分が減り、筋が固くなりやすい時期です。下ゆでしてから調理したほうが柔らかく仕上げられます。捨てがちな根元や皮も工夫次第で活用できます。
アスパラガスの美味しい選び方
店頭でアスパラガスを選ぶときは、以下のポイントをチェックしてみてください。
- 穂先が締まっているか
穂先が開いているものは鮮度が落ちている可能性があります。しっかり閉じているものがベターです。 - 茎(根元部分)を触ってみる
弾力があり、ハリを感じるものを選ぶとみずみずしさが保たれています。しわが寄っていたり、ふにゃっとしたりしているものは避けましょう。 - はかまが茎にぴったりはりついているか
アスパラガスの表面にある、三角形の薄い部分を「はかま」と呼びます。ここが離れていると鮮度が低い証拠です。 - 断面を確認
可能であれば切り口を見てみるのもおすすめです。乾いていたり、変色している部分があれば避けたほうがよいでしょう。
アスパラガスを手で折る調理のコツ
アスパラガスをカットするとき、多くの方は包丁を使うと思います。しかし、実は手で折ることでアスやえぐみが出にくくなるといわれています。包丁で切ると、その断面に含まれる成分が空気と触れやすくなり、風味を損ねやすいと考えられています。もちろん、見た目や揃え方を重視したい場合は包丁でも構いませんが、素材の持ち味を存分に楽しみたい方は、ぜひ一度「手折り」に挑戦してみてください。
また、根元のかたい部分はポキッと折り、硬さを感じる皮をピーラーなどで薄くむいておくとさらに口当たりが良くなります。特に、旬の終わり頃のアスパラガスは皮が厚く筋が残りやすいため、手折り+皮むきの組み合わせが有効です。
アスパラガスの調理法とポイント
アスパラガスはシンプルな調理でも十分に美味しさを味わえるのが魅力です。さまざまな調理法がありますが、代表的なものをいくつかご紹介します。
炒める
はしりの時期など、みずみずしいアスパラガスは特に炒め物に適しています。包丁で切らずに手で折ったアスパラガスを、油を少量引いたフライパンで炒めてみましょう。途中で少量の水を加えて蒸し焼きにすると、芯まで火が通りやすく、うまみを閉じ込めることができます。
ゆでる
旬の後半になってやや筋張ってきたアスパラガスには、ゆでる方法が向いています。たっぷりのお湯でやや短めにゆで、歯ごたえを残す程度で引き上げるのがポイントです。捨ててしまいがちな皮や根元も一緒に煮ると、アスパラガス本体への風味がいっそう増すといわれています。
焼く
オーブンやトースター、あるいはグリルで焼くと、香ばしい風味が加わって美味しさが引き立ちます。火力が強い場合は焦げやすいので、根元に近いかたい部分があるときは軽く下ゆでしてから焼くとより仕上がりが良くなります。
生食や浅漬け
とても新鮮なアスパラガスであれば、生で食べても美味しいという声もあります。サラダに加えたり、軽く塩もみして浅漬け風に仕上げたりといったアレンジは、みずみずしさがダイレクトに伝わります。ただし、生食をするときは十分に洗い、必要に応じてかたい部分を取り除いてください。
アスパラガスの保存方法
アスパラガスは縦に伸びる性質があるため、収穫後も横にしておくと先端が曲がってしまうことがあります。以下のように保存すると、鮮度を長持ちさせやすいです。
- 冷蔵庫で保存する場合
湿らせた新聞紙やキッチンペーパーで包み、先端を上にして立てて保存すると良いです。立てておくことで、アスパラガスが無理な方向に伸びるのを防ぎ、みずみずしさをキープしやすくなります。 - しばらく使わない場合
下ゆでして冷凍するという方法もあります。色が変わらない程度にさっとゆでてから水分をしっかり拭き取り、保存袋に入れて冷凍庫へ。スープや炒め物に入れるときは、凍ったまま鍋やフライパンに加えてOKです。
アスパラガスを使った簡単炒め物レシピ
以下にご紹介するのは、手で折ったアスパラガスを使ったシンプルな炒め物のレシピです。海外由来の食材ですが、和食や洋食など幅広い料理にマッチします。鮮やかな色とシャキシャキの食感を存分にお楽しみください。
材料(2〜3人分)
グリーンアスパラガス... 3本
水... 大さじ2〜3
サラダ油... 適量
塩... ひとつまみ
にんにく(お好みで)... 1かけ
作り方
- アスパラガスの下ごしらえ
手で根元を持って軽く曲げ、硬い部分がぽきっと折れるところで折ります。必要に応じて根元の皮を薄くむいてください。さらに食べやすい大きさに手で折り、穂先と茎の部分に分けておきます。 - フライパンで茎部分を炒める
フライパンにサラダ油を入れ、中火にかけます。温まったらアスパラガスの茎部分を先に入れ、しばらく放置して焼き色をつけるように炒めてください。表面が鮮やかになったらひっくり返します。 - 水を加えて蒸し焼きに
焦げそうになったら少量の水を加え、フタをして蒸し焼きにします。こうすることで芯まで火が通りやすくなり、さらにうまみが中に閉じ込められます。 - 穂先とにんにくを加える
茎部分にある程度火が通ったら穂先も加えます。にんにくを入れる場合はこのタイミングで入れて、香りが立つように炒め合わせてください。 - 塩で仕上げる
全体がしんなりしたら塩をひとつまみふり、全体に回しかけるようにさっと混ぜます。火を止め、お皿に盛り付けたら完成です。
※炒める際に玉ねぎやキノコ類などを一緒に加えても美味です。食材同士の相乗効果で豊かな旨みを楽しめます。
アレンジアイデアや別の楽しみ方
- ベーコン巻き
アスパラガスを手で折らずに長めに残し、ベーコンを巻いてこんがり焼けば、お弁当のおかずやおつまみにぴったりな一品になります。 - 焼き浸し
フライパンやグリルで香ばしく焼いたアスパラガスを、出汁や醤油ベースのつゆに浸しておくと、冷やしても美味しい和風のおかずになります。 - 天ぷらや揚げ物
アスパラガスは衣をつけてもシャキッとした食感を残しやすい食材です。特に春先の柔らかいアスパラガスは、天ぷらにすると新鮮な甘みを存分に味わえます。
海外でも楽しまれるアスパラガス
日本では若いアスパラガスをシンプルに楽しむことが多いですが、海外ではホワイトアスパラガスをメインに扱う文化もあります。ヨーロッパの一部の地域では春になると「アスパラガス祭り」のようなイベントが開催されることもあるほど、愛されている野菜です。特にホワイトアスパラガスは、ほろ苦さや見た目の美しさを生かして、バターソースやオリーブオイルなどをかけ、シンプルに塩・胡椒で味わうという食べ方が親しまれています。
アスパラガスの発展と今後
海外由来の食材として日本へやってきたアスパラガスは、長い年月を経てさまざまな地域で栽培されるようになりました。近年はより太くて甘い品種や、紫色で見た目にも楽しい品種など、バリエーションも豊富になっています。また、鉄道の廃トンネルを利用してホワイトアスパラガスを栽培する試みなど、ユニークな方法でさらにおいしさを追求する努力も行われています。
土づくりや気候への配慮、収穫時期の工夫を通して、今後もさまざまな味わいのアスパラガスが登場することが期待されます。スーパーや市場で、これまで見たことのないアスパラガスに出会う機会が増えるかもしれません。
まとめ:アスパラガスを存分に楽しむために
海外から伝わり、日本でも多くの人に愛されるようになったアスパラガス。比較的シンプルな調理でも素材の味を生かしやすく、春の到来を感じさせてくれる存在です。はしりのアスパラガスは、ゆでずに炒めるなどの方法でみずみずしさを最大限に堪能し、後半のやや筋張ってきたアスパラガスはゆでたり下茹でしたりして、ホロリとした柔らかさを味わうのもおすすめです。
手軽な炒め物からホワイトアスパラガスのソテー、紫アスパラガスの生食アレンジまで、楽しみ方はさまざまです。アスパラガスの選び方や下ごしらえの方法、保存の仕方を知っておけば、よりいっそうその魅力を引き出すことができます。海外伝来の歴史を感じつつ、今しか味わえない旬の美味しさを存分に楽しんでみてください。