夏はやっぱりそうめん。今年は「産地食べ比べ」でいつもの一杯をもっと楽しく

うだるような暑さがつづき、キッチンに立つのもおっくうになる季節。そんな日でも、つるりとのど越しよくいただけるそうめんは、夏の食卓の頼もしい味方です。ゆで時間はわずか数分、薬味とめんつゆさえあればすぐに一膳が仕上がる手軽さも魅力ですよね。

昨年は播州の名高い手延べそうめんをじっくりご紹介しましたが、今年はもう一歩踏み込んで「産地ごとの食べ比べ」というテーマでお届けします。ひと口にそうめんと言っても、産地や製法が変わると、太さ・コシ・のど越しがまるで違うもの。読み比べていくうちに、きっと「今年はこれを試してみたい」という一品が見つかるはずです。

そうめんの歴史と、日本三大そうめんのはなし

千年以上つづく、夏の風物詩

そうめんのルーツは、奈良時代に中国から伝わったとされる「索餅(さくべい)」という小麦の菓子にさかのぼると言われています。小麦粉をこね、細く引き延ばして乾燥させるという製法が長い年月をかけて洗練され、やがて現在のような手延べそうめんへと姿を変えていきました。

七月七日の七夕にそうめんを食べる習わしがあるのをご存じでしょうか。これは索餅を七夕に食べていた古い風習が受け継がれたものとされ、細く白い麺を天の川に見立てるという、なんとも風流な言い伝えも残っています。暑気払いとしてそうめんをいただく文化は、こうして千年以上の時を超えて今に息づいているのです。

産地によって、こんなに違う

日本各地には古くからのそうめんの名産地があり、なかでも播州(兵庫)・三輪(奈良)・小豆島(香川)は「日本三大そうめん」として広く知られています。それぞれの土地の気候風土や、受け継がれてきた製法によって、麺の個性は驚くほど変わります。

産地特徴麺の太さの傾向
播州(兵庫)上品なコシと繊細なのど越し。ギフトの定番細め
三輪(奈良)そうめん発祥の地とされる。極細で強いコシ極細
小豆島(香川)ごま油を用いた独特の製法。豊かな風味中細
半田(徳島)太めでもっちり。食べ応えのある個性派太め

こうして並べてみると、同じそうめんでもずいぶん幅があるのがわかります。ここからは、それぞれの産地を代表する品を具体的にご紹介していきましょう。

極細のコシを味わう。三輪の手延べそうめん

そうめん発祥の地ともいわれる三輪の手延べそうめんは、なんといってもその「極細ながらしっかりとしたコシ」が身上です。髪の毛のように細い麺なのに、ゆで上げてもへたらず、口に運ぶとしなやかな弾力が返ってくる——この繊細な仕事は、熟練の職人による手延べならではのもの。

冷やしてシンプルにめんつゆでいただくのはもちろん、上品な細さを活かして、すまし汁に浮かべる「にゅうめん」にしてもよく合います。贈答用として箱に美しく詰められたものは、夏のご挨拶にも喜ばれますよ。

そうめん発祥の地・三輪の老舗メーカーによる、極細手延べそうめん「白龍」。髪のように細いのにコシは力強く、つるりとしたのど越しが格別です。化粧箱入りで夏のギフトにも最適な一品。

風味豊かな一杯を。小豆島の手延べそうめん

瀬戸内に浮かぶ小豆島のそうめんは、麺を延ばす工程でごま油を用いるのが大きな特徴です。この製法によって、ほんのりと香ばしい風味と、独特のなめらかさが生まれます。冷やしてそのまま食べると、噛むほどに広がる小麦とごまの香りがなんとも豊かで、めんつゆだけでも満足感のある味わいです。

赤い帯が目印の品は、島の光として長く親しまれてきた定番。大容量のセットなら、家族みんなでたっぷり楽しめますし、夏のあいだ何度も食卓に登場させたいご家庭にもぴったりです。

ごま油を用いた伝統製法で仕上げる、小豆島を代表する手延べそうめん「島の光」赤帯。香ばしい風味となめらかなのど越しが魅力です。大容量セットなので、夏じゅうたっぷり味わえます。

もっちり食べ応え。太めが個性の半田そうめん

「そうめんは細いもの」という常識をくつがえすのが、徳島・半田の太めのそうめんです。一般的なそうめんよりも明らかに太く、ゆで上げるともっちりとした弾力としっかりした噛みごたえが楽しめます。うどんとそうめんのちょうど中間のような、独特のポジションと言えるかもしれません。

食べ応えがあるので、暑い日でもこれ一皿でしっかり満足できるのが嬉しいところ。ぶっかけ風に薬味をたっぷりのせたり、温かいにゅうめんにしても麺がのびにくく、その存在感は格別です。細麺に食べ飽きた方や、ボリュームを重視したい方にこそ試していただきたい一品です。

太めでもっちりとした食感が特徴の、徳島・半田の手延べそうめん。老舗メーカー「北室白扇」による、噛みごたえのある力強い麺です。ぶっかけにも温かいにゅうめんにもよく合う、食べ応え重視の逸品。

ワンランク上の贈り物に。播州の最高級そうめん

昨年ご紹介した播州の手延べそうめんですが、そのなかでも別格とされるのが、厳寒期に熟練の職人だけが手がける最高級の一品です。極限まで細く延ばされた麺は、繊細でありながらしっかりとしたコシを備え、一年寝かせた「ひね(古)」ならではの、より引き締まった歯切れのよさが味わえます。

化粧箱におさめられた姿は重厚で上品そのもの。特別なお相手への夏のご挨拶や、大切な節目の贈り物として選べば、そのこだわりがきっと伝わるはずです。自分へのご褒美として、一年に一度この特級品を味わうというのも、なんとも贅沢な夏の楽しみ方ですね。

播州の手延べそうめんの最高峰とされる「三神」。厳寒期に熟練の製造者だけが手がける特級品を、一年熟成させた「古(ひね)」で。極細ながら力強いコシと、際立つのど越しを誇る、贈り物にふさわしい逸品です。

そうめんをもっとおいしく楽しむ、ちょっとしたコツ

ゆで方と締め方が仕上がりを決める

そうめんをおいしく仕上げる最大のポイントは、なんといってもゆで方にあります。たっぷりの湯で手早くゆで、袋の表示時間を守ることが基本です。ゆで上がったらすぐに冷水にとり、手でやさしく揉むように洗って表面のぬめりを落とすと、驚くほどコシが際立ち、つるりとしたのど越しに仕上がります。最後に氷水でキュッと締めれば、見た目にも涼やかな一皿の完成です。

薬味とつゆで無限のアレンジを

定番のねぎ・みょうが・大葉・しょうがといった薬味はもちろん、ごまやゆず胡椒を添えれば、また違った表情が楽しめます。めんつゆに飽きたら、ごまだれや温かいにゅうめん、トマトやオリーブオイルを合わせた洋風アレンジなど、そうめんの懐は思いのほか広いもの。産地ごとの麺の個性に合わせて、つゆや食べ方を変えてみるのも、食べ比べならではの醍醐味です。

今年の夏は、産地食べ比べで新しいお気に入りを

同じ「そうめん」という名前でありながら、産地や製法が変わればここまで表情が違うということを、あらためて感じていただけたのではないでしょうか。極細で繊細な三輪、香り豊かな小豆島、もっちり力強い半田、そして別格の播州。それぞれに物語があり、それぞれにおいしさがあります。

今年の夏は、いくつかの産地を取り寄せて、家族や友人と「どれがいちばん好き?」と食べ比べてみるのはいかがでしょう。いつものそうめんが、ちょっとした発見に満ちた楽しい食卓に変わるはずです。暑い季節を、涼やかな一膳とともに元気に乗り切ってくださいね。


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